はぴば記念B

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何度か訪れた覚えのある、
ゴージャスでエキセントリックな翼君の部屋。

懐かしいメンバーが揃っている。

「センセ、キヨにプレゼントするんでしょ?
良いなぁ、キヨ・・・可愛いじゃん、センセ」

ひらひらと手を振る悟郎君は、
あれから少し成長したのにも関わらず、
ゴスロリを見事に着こなしている。

「うん、そうなの。
ごめんなさいね、わざわざつき合わせて」

「お湯臭いこと言うなって・・・、
皆先生にはお世話になってるんだからさ」

一君に、瞬君。
二人はのんびりとお茶を飲みながら、
くつろいでいる。

(バカサイユみたい・・・)

思わず、笑ってしまう。

「お湯は匂わないでしょう!
水臭い、でしょ」

「・・・水だって匂いはしないんじゃないのか?」

「良い質問だわ、瞬君。
食べ物が味気なくてマズイことに由来しているのよ。
よそよそしい、とか他人行儀、って意味ね。
使い方は適切だったわね、一君」

「・・・こら、授業 mode に移行するな!」

「そうね・・・つい。皆、忙しいのに、
わざわざ時間を割いてくれてありがとう」

丁寧にお辞儀する。

「《水臭い》ぜ・・・気にするなよ、センセ。
清春のためってのは気に食わないが」

「ゴロちゃんも、センセに会いたかったんだもん。
だから、気にしなくても良いんだよ〜」

「清春君をね・・・驚かせたいの。
喜んで欲しいのが一番だけれど、
たまには、私が驚かせたいなって」

「ふっふっふ・・・、
タンニン、No Problem だ!
このテンカの真壁翼様が、
それはそれは marverous な思い付きを
してやったからな!
・・・永田!」

翼君が、指を鳴らすと、
永田さんがクローゼットを開ける。
クローゼットと言っても、
私の部屋よりも大きい。




そこには。




私の想像を絶するような衣装が大量に並んでいた。




思考が、止まる。

「ま、キヨが一番嬉しいものって言ったら、
センセに決まってるんだから・・・、
良いアイディアだよね、うんうん」

「俺は永田さんがどこから用意したのか気になるぜ」

「・・・ねこにゃんの衣装もあるんだな。
俺はそれが良いと思うぞ?」

のほほんとした、B6のことばをよそに、
翼君は得意げな表情を浮かべて
ポーズを決めている。

「どうだ! タンニン。
選び抜かれた costume の数々・・・!
これで清春もイチコロだろう!?」

「ちょっと待ちなさい、
一体何の罰ゲームですかこれは!!!!」

イチコロって・・・最早死語だろうに。
私は何に突っ込めば良いのか分からなかった。

「フ・・・グモンだな、見ての通りだ!」

「こんなに集めてどうするのよ・・・」

「カタッパシから着てみれば良いだろう。
最高のものを選べ、まだ足りなければ用意させるぞ?」

「いい、いらない!
私が着るの!? これ」

「他に誰が着るんだ」

「ゴロちゃんでも流石に無理かなぁ・・・
あ、でも、メイド服なら行けるかも」

「やめろ! 俺は見たくない」

「メイクの道具はボクが持って来たから、
センセ、覚悟してね☆」

「この俺が選んだんだぞ?
どれも超一級の品だ」



私は・・・、
心の底から後悔した。

「君たちを・・・甘くみていたわ」

これを・・・私が着るのか・・・。

「センセ、オトコノコを分かってないなあ」

ち、ち、と指を振る仕草は愛くるしいが、
悟郎君の声はいつになく低かった。

「こういうの、オトコノコは大好きだよ?
キヨだってきっと好きだよ〜。ねえ、はじめ」

「まあ、俺はぶっちゃけ好きだな」

「・・・ここらで新しい世界の扉を開けてみたらどうだ?
お、・・・今のフレーズは使えるな。 めもめも」







「清春君は絶対大笑いするわ・・・、想像できる」

私はしゃがみこんだ。

「・・・俺は、笑わない方に賭ける」

「はは、俺もそっちに賭ける」

「ゴロちゃんも、そっちかな。
キヨ、笑わないと思う」

「・・・ふん。それでは、賭けにならないな」

のん気にお喋りしている、元生徒たちの
話の内容を理解している余裕など、私にはなかった。





「よ〜し、こうなったらヤケよ!
着てみます。 君たちも、笑ったら許さないから・・・!」

「着替え用の部屋を用意したから、好きに使え」

私は手当たり次第に服を引っつかみ、
翼君の指し示した部屋に入った。




to be continued



















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