はぴば記念SSで、メッセージを下さった多くの方に
感謝を込めて、舞台裏など書いてみました。
割とシリアス片思い、一の独白です。
片思いはちょっと・・・という方、
どうぞスルー(L3)で見なかったことに・・・。
良い具合に酒が回る頃。
永田さんが現像した写真を、アルバムに貼る。
悟郎は、持参したマーカーで
カラフルに彩っている。
面白くなさそうな瞬は、
かなり早いペースでグラスを空けていた。
写真の中の先生は、いたたまれなさそうにしている。
それでも、とても綺麗だと思う。
恋をしているからだろう。
「永田・・・good job だ」
「にしても、ホントどうやって手に入れたんだろうな」
「・・・それは、職業上の秘密ですね」
「趣味だったらヤだなぁ。
あ、そうそう。センセ、も〜寝ちゃったの?
はじめ、ちょっと見てきてよ」
「あ? 何で俺が・・・」
「良いから良いから」
仕方なく腰を上げて、
明りを落とした客室のドアをそっと開ける。
先生は、熟睡していた。
「寝てる・・・」
おそるおそる、足を踏み入れて。
起こさないように細心の注意を払って、
そっと頬に触れてみた。
子どものような寝顔。
「・・・可愛いよ」
聞こえない筈だ。
「凄く可愛い」
『俺たちが、いくら可愛いって言っても、
駄目なんだな・・・先生は』
「・・・悠里」
先生は、少し笑ったように見えた。
気のせいでも、良い。
一度。――名前で、呼んでみたかった。
夜は静かに更けて、
俺に夢の中を覗き見る術は無い。
それでも、幸せそうな寝顔は、雄弁だ。
先生は、きっと幸せな恋をしている。
ブランケットをかけなおして、
そっとドアを閉めて退室する。
リビングに戻り、強い酒を咽喉に流し込む。
焼けるように熱い液体。
アルコールで消毒して。
「Happy Birth Day って、このスペルであってる?翼」
「That's right. お前も書けよ、瞬」
「・・・クソ、何で俺が清春なんかのために・・・」
「貸せ、翼。 俺が先に書くからさ」
真っ白な紙に映える青いマーカーを走らせた。
「ま、俺たちはオマケみたいなもんだけどな」
この場に。
瑞希と清春がいれば良いのに、と思う。
あの頃のように。
皆揃って居られたら良いのに。
俺は、先生が好きだった。
そして、清春も好きだったし、
B6も好きだった。
眠る先生の夢を覗く術は無い。
先生のヒーローは、俺では無いと思い知る術は無い。
それを神様に感謝する。
彼女の笑顔を独り占めできた一瞬は、
写真になんかしない、俺だけのものだから。
end.
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