マイ・フェア・レディ
「やだ…先生、まっ…」
毎週末かよう先生の部屋。
昼間からベッドの中に連れ込まれる。
外は良い天気なのに。
先生は涼しい顔で手際よく服を脱がしてく。
寒いよ、と言うと笑った。
とても綺麗な笑みで、残酷なにおいがした。
「心配ない。すぐに熱くしてやるよ」
きわどい冗談が好きな先生。
でも今のは冗談なんかじゃないって目をみたらわかる。
「全部脱げよ。せっかくキレイになったんだから、
そう恥ずかしがることないじゃねえか」
「…だって…先生は服着てるのに…」
「オレにも脱いでほしい?」
「………」
「ほら、キスしてみろよ…たくさん教えてやっただろ」
言われるままふらふらと熱に浮かされたみたいにくちづけた。
先生にされる感じを精一杯思い出して、舌を入れてみる。
先生はとてもキスがうまくて、
私はいつもキス一つに翻弄される。
もちろん先生みたいにはいかない。
「…まだまだヘタだな」
「…っ! 知りませんよ…」
「でも、感じたぜ。お前も…」
キスして、感じたみたいだな、と言って無造作に内股に触れてくる。
「先生…」
何度も自分からキスを繰り返しているうちに、
やっと体温がなじんでくる。
「裸、恥ずかしい?」
頷くと先生はいたずらに胸の突起をつまむ。
「恥ずかしくて、感じるんだろ?
良い感じにやらしくなってるよ。お前の身体…」
感じやすくて、オレの言いなりで…、
容赦なく暴く声を憎んでも何も出来ない。
「オレ好みで本当にかわいいよ…
このままオレの部屋で飼い殺してやりたくなる」
「…っうあ……あ…!」
ゆっくりと指が差し入れられて濡れた音がした。
すぐに指が増やされてかき回される。
背中に手を回してしがみついて快感をやりすごそうとしても、
服越しに布を滑るばかりで心許ない。
先生の舌がかたくなった乳首をなめまわし
胸を乱暴に揉みしだく。
いつまでも早すぎる先生のペースに慣れない。
「キスしてやるから、覚えろよ」
無我夢中で先生のくちびるをむさぼる間も手は休みなく動く。
息が荒くなる。
苦しい。
目尻に溢れる涙を味わうようにすくいとる先生の顔。
優しい仕草が、苦しい。
「先生は…意地悪ですね」
「そうか? 優しくしてるつもりだがな」
「…それが意地悪なんです…」
はやく大人になりたくて背伸びして精一杯オシャレしたのに、
どうして脱げだなんて言うの。
少しは気が付いてよ。
私の、気持ちに。
「先生…もっと…ひどく、して」
何も考えられないくらいに、きつく抱いて欲しい。
先生は驚いたらしくて、まじまじと私を見る。
『先生のやり方を覚えてキスがうまくなったら、
私を先生のものにしてくれますか』
とても怖くてきけないけれど。
「お前の望み通りにしてやるよ」
一気に押し入ってくる。
「……やっ…はぁっ…あ…」
「力抜いて、オレにしがみついてろ」
がくがくと揺さぶられる。
「先生…先生…すき…」
譫言みたいに口走る。
たくさんの女のひとを先生は通り過ぎてきたって知ってる。
告白にだってきっと慣れてる。
それでも自信があるんだ。
「他の誰よりも私が、先生を好きだよ」
本当は、私を『生徒』じゃなくて恋人にしてほしいんだ。
くたくたに疲れて眠り込む直前に、
先生の髪を撫でる優しい感触が残った。