愛情ラジカリズム

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時々忘れがちになるが、私と彼は新婚夫婦なのだった。

食事は、清春君のたっての望みで彼が作っている。
器用で、味付けのセンスもあるのだが、
とても意外だった。
清春君の手料理を初めて見たときは、
感動して息が止まるかと思ったものだった。
後片付けは私がするし、
時々は私も作るが、
なるべくなら止めてくれ、と清春君は言う。
・・・失礼な。



夕食後。




「悠里、何してんだよ」

「ん? お勉強」

「学校でも家でも勉強って、疲れねぇ?」

「う〜ん、仕事だからね。
それよりも、君こそ大丈夫?」

「何がだよ?」

「最近、疲れているじゃない。
もともと寝起きは悪くないのに」

体力は並外れている彼が、
私に分かるほど疲れるまで、
忙しくしているのだ。

「・・・心配だよ」

「お前が、俺を? 心配?
自惚れんなよ」

「いつだって、心配ばかり
かけているわ、君は。
昔から目が離せなかったもの」

「ま、確かに疲れてるが、
俺だって普通にそういうときもある、ってだけだ。
そんなに言うならさ」

ニヤリと笑う。
嫌な予感がした。



「疲れがとれるような、
・・・元気になれること、しようぜ?」



「清春君、私は明日学校が」

「俺は昼からだから、ゆっくりできる」

「より疲れるでしょ、普通に考えたら」




「・・・・・・悠里」




獰猛なキスだ。
息を出来なくさせる、
私を黙らせるキスだった。




「・・・するぞ?」




決定事項、ということだ。

私の口の端からこぼれる唾液を、
彼は手の甲で拭った。
親指で、下唇をなぞり、
もう一度深く口付けられる。
際限なく、繰り返される幻想。
知らない間に、ボタンが外されている。

「安心しろよ、加減はしてやる」

不敵な笑みに眩まされるのは、私の悪い癖。

ベッドに連れて行かれたときは
自分から服を脱いだ。


「・・・君は、本当に悪魔だわ」

誘惑する生きものだ。

「誑かすのが上手すぎる」


それに、嘘つきだけど、
約束は必ず守る。


「なァ、・・・集中しろよ。
俺のことだけ考えてろ」

「・・・とっくの昔から、そうしてるわよ」

「上出来」




君が私に愛を誓うなら、
魂を抵当に入れてもかまわない。



























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