婚約をお披露目したときは、
大変な騒ぎとなった。
教師陣は葛城先生を除く全員が温かく祝福してくれたのだが。
問題は・・・、清春君だ。
卒業後も頻繁に聖帝の職員室を訪れる彼に、
早いうちに報告した。
「私・・衣笠先生と、結婚するの」
「知ってるっつうんだよ、そんなん」
「衣笠先生が、話したの?」
「ああ」
クリスマス。
タキシードを着た衣笠に、問い詰めた。
面倒を嫌って、今まで誰とも踊らなかった衣笠が。
『アイツを、連れてくのか』
『そう・・・、 あのひとは、僕が貰います』
わざわざ人気の無いところに呼び出して、
確かめたかったのは、本気だった。
確かめて分かったのは、
この上なく真剣だということ。
『クソ・・・、最悪だぜ』
『悠里さんは、君に甘いから。
僕も嫉妬に苦しめられたものです』
『ウソくせェ・・・、
アンタはなんかうさんくさい。
得体が知れねェし、
出来ればアンタみたいなヤツには
やりたくないってのに』
『大丈夫・・・僕は本当に、
あのひとが好きですから。
大事にしますよ。
・・・君に誓っても良い』
『・・・ケッ。
本人に言えよ、馬鹿馬鹿しい』
「そっか、それなら知ってたのか・・・。
君には、一番に報告したかったのに」
「はぁ〜〜〜!? バッカじゃね。
俺には関係ね〜よ」
「君がいなかったら、
私と衣笠先生はこうは
ならなかったと思うわ・・・だから」
「なァ・・・結婚式はいつだよ?」
「え・・・未定だけど、年内には」
「俺も出るぜ。
力の限り邪魔してやる。
大騒ぎして、引っ掻き回してやるよ。
一生忘れられないような式にしてやる」
「こらこらこら、
君が主賓じゃないんだから」
「・・・でも、アンタは俺を招待するんだろ?」
「そりゃ、君にいて欲しいもの」
「ふうん・・・、」
恋人になれなくても。
一生消えないつながりがあるなら、
それはそれで悪くない。
「腕によりをかけて、
盛り上げてやるから、
期待してろよなァ〜、センセ」
「・・・お手柔らかにね、清春君」
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